近年、有名進学校で海外大学への合格実績が増えていると言われています。手塩にかけて育てた生徒を、例えば就職に手厚いとか言って、就職活動ばかりで全然勉強しない日本の大学に入れて良いものだろうか、そう思う先生や親御さんが増えていくのは自然なことに思います。
しかし、合格実績はその数字を読むとき注意が必要です。というのも、アメリカの大学合格実績は進学実績と乖離しやすいからです。
注意点として以下のようなことがあります。
- 出願手数料が高くても1万円前後のため大量に出願できる
- しかも、1校に1回払うだけ。日本のように試験毎に払わなくて良い。
- 試験がないので、同時にいくらでも出願できる。
- コモンアプリケーションのシステムが普及しており、共通の出願申請フォーマットを使って、大量に出願できる。
- 合格しても入学金は不要な場合が多いので、沢山合格してもある程度の期間は無料でキープできる。
- ただし、Early Decisionは原則同時に申し込めないので、Early Decisionを利用する学生の合格実績は数が少なくなる。
極端なことを言えば、例えばある学校の合格実績が20校あっても、ひとりで余裕で作れる実績なのです。
逆にいうと、出願の際はコモンアプリケーションを利用して、だめもとで色々な大学に出願することをお勧めします。ただし、Early Decisionは日本で言う「専願」ですから、それは本当に行きたい大学がある場合だけにしましょう。最初はそこが一番と思っていても、もっと良いところから良い条件で合格通知が来るかもしれません。
似たような用語にEarly ActionやRolling Admissionがありますが、これはどちらも縛りがありません。これらのApplyは高校3年の9月頃から始まります。
ToeflやIELTSが十分な人やConditional Admissionで出願する人は、このEarly ActionとRolling Admissionを利用して、9月〜10月に短期決戦することをお勧めします。
ほとんどの大学は、Conditional Admissionで一旦条件付き合格をしておいて、締切までに基準以上のToeflやIELTSを提出すれば、そこで改めて合格扱いにしてくれます。一部の大学はConditional Admissionに奨学金を出してくれませんが、逆に、Conditional AdmissionでもConditionalがはずれた時点からフルの奨学金をあらかじめ約束してくれる大学もあります。
Early DecisionやEarly Action、Rolling Admissionで一旦Reject(=箸にも棒にもかからない)された場合は、同じ大学に再出願(reapply)できません。SATやACTが必要で準備が間に合わない大学は、少し出願を遅らせたほうが良いです。箸にも棒にもかからないわけではないが合格でもない人は、Deferred(保留)としてRegular Decision(一般受験)の結果が出る4月まで保留されます。Deferredの間も、基準点になったToeflやIELTS、より高いSATやACT、追加の功績などを提出して、アピールしましょう。
一方でToeflやIELTSは学業成績ではなく単なる入学条件ですので、条件をクリアすればそれ以上の点数をとっても有利にはなりませんし、Conditional Admissionだからといって選考上不利になることもありません。別に日本の有名進学校でなくても、その高校でGPAを3.4/4.0も取っていれば、アメリカTOP100前後の州立大学程度なら、Conditional Admissionでわりと簡単に合格してしまいます。日本に於いては英語そのものが勉強ですが、アメリカに一旦入ってしまえばそれは勉強のツールのひとつでしかありません。つまり、高校時代は英語ばかり勉強するのではなく、まず全ての教科で3年間を通してGPAをきちんと取ることを優先してください。アメリカの大学だって、条件付き合格の生徒が、急に半年後英語ペラペラになるなんて思っていません。だから、提携している現地の英語学校やExtensionで真面目にしていれば、基準の英語力が付いていなくても、少しくらいはおまけしてくれます(カリフォルニアのように日本人が溢れているような大学は、その限りではありません)。
話がそれましたが、アメリカの大学については、進学実績の方を見なくては実態をつかめません。日本では私立ではなく国公立の合格実績ならある程度実態を反映していると考えられていますが、アメリカでは州立大学でも状況は同じです。
こちらのサイトでは、高校からの海外大学への進学状況(2017年3月卒業)を紹介しています。