【全文】 [資料] 新しいCCCDのFAQ

Q) なぜCCCDは問題なのでしょうか

A) CCCDは規格外だからです。

現在でも、多様なCCCDの方式が乱立しています。これは将来、CD規格の混乱を招き、CDという現在最も普及しているメディアの互換性を失う原因になると考えます。

Q) CCCDは音質が悪いからダメなのでしょうか

A) 一概にそうとは言い切れません。

CCCDの音質は今後向上していくでしょう。 現在でも、エイベックスのCDS200.0.4仕様「Every Little Thing / Many Pieces」が多量のエラー(CU: Uncorrectable Error)を含んでいるのに対し、同仕様「Every Little Thing / Many Pieces」のエラーは限りなくゼロに近いものとなっています。 ジッターについても、同様に改善されてきています。

また、製品になるまでの音質の劣化や変化の要因は、CCCDという方式の導入だけではありません。今後の改善により、限りなく影響の無いCCCDが出てくるでしょう。

つまり、音質が悪いというのは、個々の製品で論じる話で、CCCDに対して一般的に論じる話ではありません。

Q) CCCDはコピーできないからダメなのでしょうか。

A) コピーできないことと、CCCDの問題は切り離して論じるべき問題だと考えます。

偶然のコピーは可能です。意図的にプロテクトをはずしてコピーしなくても、まともな新しいCDドライブで、高品質なコピーをするだけで、CCCDのコピーは偶然できてしまいます。たとえば、Plextor(シナノケンシ)のような有名メーカーのドライブを使っている人は、これを体験しているでしょう。

また、コピーができないことは、CCCD固有の特徴ではありません。SACDや2層DVDは、偶然のコピーの再現が困難です。だからといって、SACDやDVDを非難することは、明らかにお門違いでしょう。

2004年秋、一部のレーベルからCCCDの弾力的な運用や廃止のアナウンスがありましたが、その理由には「著作権侵害行為に対する啓発活動が一定の成果を収められたこと」とともに、「HDDミュージックプレーヤー」への対応が挙げられています。しかし、「HDDミュージックプレーヤー」に対応すれば良いというわけではありません。例えばiPod対応CCCDがCD規格外で発売されたら、従来と同じ規格外であるとあるがゆえの混乱が続くことでしょう。

Q) CCCDを導入している企業の見解は変ではありませんか。

A) 変です。

ほとんどの企業は、音質やコピーの話しかしません。CCCDが持つ、CD規格存続の危機という根本的な問題には、触れていません。

Q) CCCDは再生を保証しないばかりか、再生環境の障害も自己責任としています。これは、問題ですか。

A) これは、CCCDがCD規格に従っていないことを原因とする問題の一つです。

このような問題は、CCCDがもしCD規格であれば、ユーザーの努力で回避可能であったはずです。CD規格に従った再生環境で再生すれば、製品の不具合や製造責任の判断も明確だったはずです。CCCDがCD規格でない以上、また方式が乱立する限り、この問題は解決されないでしょう。

Q) 有名なアーティストの見解は、音質に関する判断ばかりです。これは、危険ではありませんか。

A) 危険です。CCCDの問題は音質ではありません。

今後、CCCDの音質は、全く無視できる程度まで向上することでしょう。そのときにCCCDを導入することは、非常に自然な成り行きとなってしまいます。問題は、CCCDがCD規格ではないということです。音質が原因でCCCDを採用していないアーティストに対しては、このことを忠告すべきだと考えます。現時点でも、吉田美奈子さんなど、音質で検討したために誤りと思われる決断をしているアーティストがいます。そのようなアーティストと、音質を問題としてCCCDを採用しなかった、うただてるざね氏、片岡大志氏(矢井田瞳プロデューサー)、山下達郎氏は50歩100歩です。

Q) ユーザーとしてできることはありますか。

A) まず、CCCDの問題を規格の問題として理解することです。

CCCDではなくCDとして発売された作品がすばらしいものであれば、それを買ってユーザーとしての態度を明らかにしましょう。正しい姿勢で、すばらしい作品を出せば、具体的な形で評価されるという当然のことは、ユーザーの一人一人が実行しなければ実現しません。

Q) CCCDを再生できて、音質も気にならないのですが、私に不利益が生じますか。

A) 生じます。

まず、CD規格外であるディスクは、プレーヤーを買い替えたときに、良好に再生できるとは限りません。また、CCCDの表示を取ると、一般のCDとの区別が付きにくいため、保有している全てのCDもCCCDかどうか注意深く確認して、自己責任で取り扱う必要が生じ混乱します。そして、多くのユーザーがCCCDを認めることで、CD規格自体が軽視され、好きなアーティストの特定の作品を聴く手段を、将来失うかもしれません。

Q) CCCDがCD規格に採用されれば、問題は解決されるのでしょうか。

A1) 解決されます。しかし、新しい問題も出てくるでしょう。

採用されても、CDという規格自体がそもそも軽視されていく流れは止められないでしょう。CD規格は奇跡的にスタンダードな規格として世界的に普及しました。それに代わるメディアは今後出てくるでしょうか。そして、インディーズをはじめとしたマイノリティーに対して、多くの人に音楽を届ける機会を与えることができるでしょうか。 音楽を愛する人は、CD規格という奇跡的なメディアフォーマットをもっと大切にすべきです。

A2) 解決しません。

技術的な観点から考えると、コピープロテクトとは、いつか必ず破られるものです。たとえばDVDのDeCCS問題などはそれを端的に表しています。そのため、従来規格と非互換な変化を常に続けなくては、効力を維持できません。作り手が、コピープロテクトを利用して収益を維持するという考え方から脱却しない限り、規格に関する問題と混乱は永遠に続くでしょう。

Q) CCCDを売らざるを得ない人、買わざるを得ない人がいるのも事実だと思います。

A) わざわざCCCDを買わなくても、他に聴くべきCDは今のところ潤沢にあります。

そのことに気づきましょう。聴いたことがない音楽に出会うことは、しあわせなことです。ユーザーが意志を示せば、おのずとCCCDを売らざるを得ない状況はなくなっていくはずです。

2004年09月21日 05:14更新